呟きたいときくるところ
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いつだって、為政者というものは勝手気まま
自分より力のない者がどう思おうと、どうでもよいものだ
「ちょっ何!ここどこっ」
起きた瞬間に異変に気づいた自分に、内心で拍手を送る。
いつもなら目が覚めてすぐでも、なかなか頭が働かなかったりするのに。
いや、そうではない、それは今かなりどうでもいい。
問題なのは、今咲が居る部屋がなんだか牢獄に見える、ということだ。
テレビの時代劇か何かで見たものとよく似ている。
が、当然そんな所に容れられるようなことをしでかした覚えはない。
「何で牢屋なのっ・・・さ、佐助ー!幸さん!」
格子を引っつかみ、外を凝視する。
掴んでいる格子がやたら分厚い木だということにいらっときた。
待て、何をしたんだ私。
いや何もしてない、昨日もいつものように寝た、はず。
ていうかここ、本当にどこだ!
「わっからーん!ここどこっ!私が一体何をしたぁっ」
「ここは稲葉山城で、君は所謂人質というやつだね」
「はあぁっ!?」
独り言だったはずが返事を返した人が居て、咄嗟に奇声をあげてしまった。
何がどうして稲葉山まで来てしかも私が人質?
返事をした主を確認する前に叫んでしまったため、しばし主を捜す破目になった。
ふと、暗がりに立つ一人の男を見咎め、無意識に睨みつける。
何だか無性に腹が立って仕方がなかった。
今思えば大分自分の立場がわかってなさすぎた。
「何で私が人質なの。
ていうかあんたは一体誰」
「僕は竹中半兵衛、豊臣の軍師だ。
今度君達のところと戦をすることになってね、どうせなら弱みでも握ろうと探ってたんだ。
そうして見つけたのが、君」
「はぁ?私達って・・・武田?
戦するって、豊臣とだったの・・で、私に目をつけた・・はぁあ・・。
私なんて武田の娘でもなし、何の力もないのに、人質の意味ないですけど?」
ついつい、呆れてしまった(ついでにため息もこれ見よがしに吐いてみた)
武田に血のつながりがあるでもない、ただの平民以下の娘に、人質の価値があるわけない。
豊臣の軍師・竹中半兵衛といえば頭のキレるやり手と聞いたが、案外抜けているのだろうか。
「武田信玄がある日女童を拾い、城に置いている・・それも何の繋がりもない子を。
軍師としての才もある信玄がしたことなら、何か意味があるのではないか?
・・・随分前から、そういう噂があったりするんだよ。
だから僕としても、彼がそうした理由を知りたくなってね。
人質の価値があるならそれもよし、なければ殺すのみ、だ」
「真顔で恐ろしいこと言いなさる・・・。
つーかめのわらわって、私子供扱い?
一応16歳ですけど?いい大人じゃね?
で、私には囲っていても何の利点もないからね。
人質の価値ない私は殺されるの決定ですか?」
もー、いやになるなこんちくしょう
項垂れるついでに勢い余って格子に頭をぶつける。
ごん、ていった・・・むしろもっとぶつけてやろうか奇人のまねでもしちゃろうか、とも思ったが。
そうなればなったできっと興味も薄れ、即殺されてしまうのは確実に思えたのでやめた。
どちらにせよ、長くはないだろうけれど。
「信玄公に言ったって無駄よ、私に価値なんてないもの。
親切心で拾ってついでに居候させてくれただけ。
ついでにいうけど私は軍の機密や何かは知らないよ。
叩こうが脅そうが何も出てこないからね」
未だ暗がりに立つ半兵衛を真っ直ぐに見て、いう。
嘘偽りなどない、本当のこと。
けれど言っていてなんだか切なくなってきた。
本当に何の役にも立たないお荷物だったなぁ、ということを実感して。
半兵衛は暫く黙っていたけれど、おもむろに明かりのあるほうへ出てきて、格子に近寄ってきた。
不意を衝かれて、後ろに後ずさる。
半兵衛はにぃ、と不敵に笑うと、咲に告げた。
「・・・・口の達者なお嬢さんだ。
ま、全ては甲斐の虎がどう出るかによって変わるだろう。
なんだか面白いから、君はその間、客人として対応しよう。
それにここは汚いからね」
「・・・・はぁ」
だったら何でここに容れたんだこのやろう、という言葉は勿論飲み込んだ。
ただ、佐助や幸さん、信玄公にまた迷惑をかけてしまったらしい、ということが重く胸に沈んだ。
自分より力のない者がどう思おうと、どうでもよいものだ
「ちょっ何!ここどこっ」
起きた瞬間に異変に気づいた自分に、内心で拍手を送る。
いつもなら目が覚めてすぐでも、なかなか頭が働かなかったりするのに。
いや、そうではない、それは今かなりどうでもいい。
問題なのは、今咲が居る部屋がなんだか牢獄に見える、ということだ。
テレビの時代劇か何かで見たものとよく似ている。
が、当然そんな所に容れられるようなことをしでかした覚えはない。
「何で牢屋なのっ・・・さ、佐助ー!幸さん!」
格子を引っつかみ、外を凝視する。
掴んでいる格子がやたら分厚い木だということにいらっときた。
待て、何をしたんだ私。
いや何もしてない、昨日もいつものように寝た、はず。
ていうかここ、本当にどこだ!
「わっからーん!ここどこっ!私が一体何をしたぁっ」
「ここは稲葉山城で、君は所謂人質というやつだね」
「はあぁっ!?」
独り言だったはずが返事を返した人が居て、咄嗟に奇声をあげてしまった。
何がどうして稲葉山まで来てしかも私が人質?
返事をした主を確認する前に叫んでしまったため、しばし主を捜す破目になった。
ふと、暗がりに立つ一人の男を見咎め、無意識に睨みつける。
何だか無性に腹が立って仕方がなかった。
今思えば大分自分の立場がわかってなさすぎた。
「何で私が人質なの。
ていうかあんたは一体誰」
「僕は竹中半兵衛、豊臣の軍師だ。
今度君達のところと戦をすることになってね、どうせなら弱みでも握ろうと探ってたんだ。
そうして見つけたのが、君」
「はぁ?私達って・・・武田?
戦するって、豊臣とだったの・・で、私に目をつけた・・はぁあ・・。
私なんて武田の娘でもなし、何の力もないのに、人質の意味ないですけど?」
ついつい、呆れてしまった(ついでにため息もこれ見よがしに吐いてみた)
武田に血のつながりがあるでもない、ただの平民以下の娘に、人質の価値があるわけない。
豊臣の軍師・竹中半兵衛といえば頭のキレるやり手と聞いたが、案外抜けているのだろうか。
「武田信玄がある日女童を拾い、城に置いている・・それも何の繋がりもない子を。
軍師としての才もある信玄がしたことなら、何か意味があるのではないか?
・・・随分前から、そういう噂があったりするんだよ。
だから僕としても、彼がそうした理由を知りたくなってね。
人質の価値があるならそれもよし、なければ殺すのみ、だ」
「真顔で恐ろしいこと言いなさる・・・。
つーかめのわらわって、私子供扱い?
一応16歳ですけど?いい大人じゃね?
で、私には囲っていても何の利点もないからね。
人質の価値ない私は殺されるの決定ですか?」
もー、いやになるなこんちくしょう
項垂れるついでに勢い余って格子に頭をぶつける。
ごん、ていった・・・むしろもっとぶつけてやろうか奇人のまねでもしちゃろうか、とも思ったが。
そうなればなったできっと興味も薄れ、即殺されてしまうのは確実に思えたのでやめた。
どちらにせよ、長くはないだろうけれど。
「信玄公に言ったって無駄よ、私に価値なんてないもの。
親切心で拾ってついでに居候させてくれただけ。
ついでにいうけど私は軍の機密や何かは知らないよ。
叩こうが脅そうが何も出てこないからね」
未だ暗がりに立つ半兵衛を真っ直ぐに見て、いう。
嘘偽りなどない、本当のこと。
けれど言っていてなんだか切なくなってきた。
本当に何の役にも立たないお荷物だったなぁ、ということを実感して。
半兵衛は暫く黙っていたけれど、おもむろに明かりのあるほうへ出てきて、格子に近寄ってきた。
不意を衝かれて、後ろに後ずさる。
半兵衛はにぃ、と不敵に笑うと、咲に告げた。
「・・・・口の達者なお嬢さんだ。
ま、全ては甲斐の虎がどう出るかによって変わるだろう。
なんだか面白いから、君はその間、客人として対応しよう。
それにここは汚いからね」
「・・・・はぁ」
だったら何でここに容れたんだこのやろう、という言葉は勿論飲み込んだ。
ただ、佐助や幸さん、信玄公にまた迷惑をかけてしまったらしい、ということが重く胸に沈んだ。
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