呟きたいときくるところ
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落ちた先は、見知らぬ土地
「ぎゃああああああ」
乙女らしからぬ悲鳴、パート2。
ただ心のままに叫び続け、その身は落下するままに任せた。
どうせ何したって現状が変わるわけでもない。
だって私は人で、飛べないのだから。
頭のどこかで冷静になっている自分がいて、なんだか不思議だった。
もう少しで地面、というところまで来て本気で恐怖が湧いた。
この落下速度で地面に叩きつけられたら、即死は確実に思えた。
「嘘っちょ、ま!
たぁすけてええええぇええ」
いやああああああああ
叫んで叫んで、でもその身は落ちるのを止めない。
重力に従うしか術を持たないのだから、それは当たり前だ。
わかっていても、叫ぶのは止められなかった。
「きゃあああああああああっ」
あと数メートル、1メートル、30センチ・・・
ぴたっ
「あああああああぁ・・・・・あ?」
延々と叫び続けていたけれど、ふと気がつく。
落下が、止まっている?
「え?・・うわぉっ」
ふわふわ、
体は、地面から約20センチ上で浮き、落下はいつの間にか止まっていた。
ぱちくりと瞬きをして、叫ぶのをやめる。
ついでに思考まで止まってしまった。
「・・・え?」
ふわふわ、ふわふわ
ゆらゆらと空中で揺れる体。
ちら、と首を捻り、地面を見る。
「・・・・・え?」
今まで起こったこともそうだけれど、なかなかすぐには信じられなかった。
けれど、それもそう長くは続かず。
「え」
ふっ
「うぎゃっ」
どさっ
いきなり浮いている感覚が消えたかと思うと、落ちた。
重力が戻ってきて、地面に体が叩きつけられる。
それでも空から降ってくるよりはましだと思ったが、やっぱり痛いものは痛かった。
「げふっ・・」
背中から落ち、息が詰まった。
げほげほと咳き込みつつ、うつ伏せになる。
芝生のように整えられたものではない草を握り締め、しばし悶絶した。
色々痛い。
「げほげほっ・・・はー、痛かったちくしょう。
・・・・で、ここは一体何処でせう」
涙目で起き直り、辺りを見渡す。
うっそうと茂る木に雑草?
まさに森。
「森・・・ですか。
どこの森?
てか何で森?」
私が一体何をしたんですか
呆然と前を見て、思う。
いきなり森に落とされるような悪いことはしてなかったはずなのに。
バイトバイトで頑張ってただけなのに。
確かに学校は遅刻や欠席がなかなかにあったけれど、ここまでされる謂れはない。
そもそも現実にこんなことが起こりうるのだろうか。
いや、起こりえない(反語)
普通なら。
「・・・・・わからん、本当にわからん。
ここは何処で何が起きたんですかこの私に・・」
絶望に駆られ、両手をつき頭を垂れる。
例えばこれが遅刻欠席の罰だとしても、あまりにも酷い仕打ちのような気がした。
「確かに不真面目だったけどこれはないよ神様・・・。
私頑張ってたのに・・今月すごい頑張ったのにィ・・!
バイトの給料日はもう明日ですよちくしょう馬鹿!」
あんまり悔しく理不尽だったので、つい矛先を神様に向け八つ当たる。
ついでに拳を地面に打ち付ける。
が、強くやりすぎて痛めてしまった。
これが世に言う天罰ですか。
もうとっくに受けてるというのに、神様は満足してないのですか。
しつこい性格なんですね、神様という輩は。
「痛い・・うー、神様のばか・・・」
痛めた手を摩りながら、涙が出てくる。
何故こんなことになっているんだろうか。
到底理解出来ない自身の現状を嘆く。
ついでに悔しくて悲しくて、本格的に神を怨んだ。
がさっ
「おんやぁ・・女の子がいる」
「ぎゃわっ」
唐突に藪を揺らし、一人の男が出てきた。
あんまりいきなりだったので、変な悲鳴が出る。
それと同時に恐怖と驚愕で心臓が早鐘を打ち始めた。
得体の知れない輩とまともに向き合う度胸はない。
小心者です。
「何かそれ、女の子の悲鳴じゃないな・・。
で、あんたは何処のお嬢さん?」
んー?と首を捻りつつ、近寄ってくる男に、びくつきながら無言で後退する。
涙目で見上げてくる見知らぬ装束を着た女に、何をそんなに興味を持つのか。
男は手をあごにあて、考え込みながらさくさく近寄ってくる。
あまりにも遠慮というものが見受けられないため、内心で盛大に悲鳴を上げた。
「・・っ」
「え、なんか警戒されてる?
ま、そーだよな、お互い知らない者同士だし。
でもこっちはそうも言ってられなくてね。
ここ、俺の主の領地内だからさ。
他国の間者だとしたら捨て置けない」
きらりと目を光らせる。
一瞬殺気のようなものを感じて、本気で怯えた。
この人は、ダレ。
「・・・・ご、ごめん、なさい・・すぐ出て行きます・・」
噛みつつそう答えれば、男はおや?という顔をしてこちらを見つめる。
赤い髪に迷彩の忍び装束のような格好の不審人物(に見える)に見つめられ、居た堪れなくて顔を伏せた。
男は一転、にこっと笑った。
「・・・いやぁ、驚かしちゃった?
別に怯えさせる気も旅人を排除する気もないから、安心してくれる?
って言っても、いきなりじゃ無理か・・」
うーんと唸りつつ、頭を掻く。
一体目の前のこの男は何者で、何でここに居て、何を考えているのか。
忍び装束みたいなの来ていても迷彩柄では忍んでない気がする。
相手の言動に密かに突っ込みを入れていたら、いつの間にか涙は乾いていた。
「じゃ、自己紹介しようか。
俺は猿飛佐助で主は真田幸村。
あんたは?」
にっこり笑って、促してくる。
ついその笑顔と気迫に逆らえなくて、答えてしまった。
答える気なんて、一切なかったのに。
「・・・咲。
葛篭咲」
そうして素直に答えたあと、ぼんやり偽名でも使えばよかったとちらりと後悔した。
けれど後になって、偽名なんて使わなくて良かったと思うことを、咲は知らない。
とは言えこれが、こちらの世界で初めての接触。
初めて出会った人は、甲斐の若虎に仕える真田忍軍の長、猿飛佐助だった。
「ぎゃああああああ」
乙女らしからぬ悲鳴、パート2。
ただ心のままに叫び続け、その身は落下するままに任せた。
どうせ何したって現状が変わるわけでもない。
だって私は人で、飛べないのだから。
頭のどこかで冷静になっている自分がいて、なんだか不思議だった。
もう少しで地面、というところまで来て本気で恐怖が湧いた。
この落下速度で地面に叩きつけられたら、即死は確実に思えた。
「嘘っちょ、ま!
たぁすけてええええぇええ」
いやああああああああ
叫んで叫んで、でもその身は落ちるのを止めない。
重力に従うしか術を持たないのだから、それは当たり前だ。
わかっていても、叫ぶのは止められなかった。
「きゃあああああああああっ」
あと数メートル、1メートル、30センチ・・・
ぴたっ
「あああああああぁ・・・・・あ?」
延々と叫び続けていたけれど、ふと気がつく。
落下が、止まっている?
「え?・・うわぉっ」
ふわふわ、
体は、地面から約20センチ上で浮き、落下はいつの間にか止まっていた。
ぱちくりと瞬きをして、叫ぶのをやめる。
ついでに思考まで止まってしまった。
「・・・え?」
ふわふわ、ふわふわ
ゆらゆらと空中で揺れる体。
ちら、と首を捻り、地面を見る。
「・・・・・え?」
今まで起こったこともそうだけれど、なかなかすぐには信じられなかった。
けれど、それもそう長くは続かず。
「え」
ふっ
「うぎゃっ」
どさっ
いきなり浮いている感覚が消えたかと思うと、落ちた。
重力が戻ってきて、地面に体が叩きつけられる。
それでも空から降ってくるよりはましだと思ったが、やっぱり痛いものは痛かった。
「げふっ・・」
背中から落ち、息が詰まった。
げほげほと咳き込みつつ、うつ伏せになる。
芝生のように整えられたものではない草を握り締め、しばし悶絶した。
色々痛い。
「げほげほっ・・・はー、痛かったちくしょう。
・・・・で、ここは一体何処でせう」
涙目で起き直り、辺りを見渡す。
うっそうと茂る木に雑草?
まさに森。
「森・・・ですか。
どこの森?
てか何で森?」
私が一体何をしたんですか
呆然と前を見て、思う。
いきなり森に落とされるような悪いことはしてなかったはずなのに。
バイトバイトで頑張ってただけなのに。
確かに学校は遅刻や欠席がなかなかにあったけれど、ここまでされる謂れはない。
そもそも現実にこんなことが起こりうるのだろうか。
いや、起こりえない(反語)
普通なら。
「・・・・・わからん、本当にわからん。
ここは何処で何が起きたんですかこの私に・・」
絶望に駆られ、両手をつき頭を垂れる。
例えばこれが遅刻欠席の罰だとしても、あまりにも酷い仕打ちのような気がした。
「確かに不真面目だったけどこれはないよ神様・・・。
私頑張ってたのに・・今月すごい頑張ったのにィ・・!
バイトの給料日はもう明日ですよちくしょう馬鹿!」
あんまり悔しく理不尽だったので、つい矛先を神様に向け八つ当たる。
ついでに拳を地面に打ち付ける。
が、強くやりすぎて痛めてしまった。
これが世に言う天罰ですか。
もうとっくに受けてるというのに、神様は満足してないのですか。
しつこい性格なんですね、神様という輩は。
「痛い・・うー、神様のばか・・・」
痛めた手を摩りながら、涙が出てくる。
何故こんなことになっているんだろうか。
到底理解出来ない自身の現状を嘆く。
ついでに悔しくて悲しくて、本格的に神を怨んだ。
がさっ
「おんやぁ・・女の子がいる」
「ぎゃわっ」
唐突に藪を揺らし、一人の男が出てきた。
あんまりいきなりだったので、変な悲鳴が出る。
それと同時に恐怖と驚愕で心臓が早鐘を打ち始めた。
得体の知れない輩とまともに向き合う度胸はない。
小心者です。
「何かそれ、女の子の悲鳴じゃないな・・。
で、あんたは何処のお嬢さん?」
んー?と首を捻りつつ、近寄ってくる男に、びくつきながら無言で後退する。
涙目で見上げてくる見知らぬ装束を着た女に、何をそんなに興味を持つのか。
男は手をあごにあて、考え込みながらさくさく近寄ってくる。
あまりにも遠慮というものが見受けられないため、内心で盛大に悲鳴を上げた。
「・・っ」
「え、なんか警戒されてる?
ま、そーだよな、お互い知らない者同士だし。
でもこっちはそうも言ってられなくてね。
ここ、俺の主の領地内だからさ。
他国の間者だとしたら捨て置けない」
きらりと目を光らせる。
一瞬殺気のようなものを感じて、本気で怯えた。
この人は、ダレ。
「・・・・ご、ごめん、なさい・・すぐ出て行きます・・」
噛みつつそう答えれば、男はおや?という顔をしてこちらを見つめる。
赤い髪に迷彩の忍び装束のような格好の不審人物(に見える)に見つめられ、居た堪れなくて顔を伏せた。
男は一転、にこっと笑った。
「・・・いやぁ、驚かしちゃった?
別に怯えさせる気も旅人を排除する気もないから、安心してくれる?
って言っても、いきなりじゃ無理か・・」
うーんと唸りつつ、頭を掻く。
一体目の前のこの男は何者で、何でここに居て、何を考えているのか。
忍び装束みたいなの来ていても迷彩柄では忍んでない気がする。
相手の言動に密かに突っ込みを入れていたら、いつの間にか涙は乾いていた。
「じゃ、自己紹介しようか。
俺は猿飛佐助で主は真田幸村。
あんたは?」
にっこり笑って、促してくる。
ついその笑顔と気迫に逆らえなくて、答えてしまった。
答える気なんて、一切なかったのに。
「・・・咲。
葛篭咲」
そうして素直に答えたあと、ぼんやり偽名でも使えばよかったとちらりと後悔した。
けれど後になって、偽名なんて使わなくて良かったと思うことを、咲は知らない。
とは言えこれが、こちらの世界で初めての接触。
初めて出会った人は、甲斐の若虎に仕える真田忍軍の長、猿飛佐助だった。
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