呟きたいときくるところ
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住む所は当面見張り小屋兼ヤク小屋でカナンと一緒
それでも文句は言わなかった
むしろ久しぶりのヒトの温もりで、涙が出そうだった
あぁ、こんなにも私は寂しかったのか―――
タブラ・ラサ 2
「ほあッ!」
「カナン!」
何個も積み重ねていた篭ごと、カナンが倒れる。
サンワの庄に着てから、既に数日。
見慣れてしまった光景ではあるが、実際本当にカナンはよく転んだ。
「大丈夫?だから、少しにしたらといったのに・・」
「えへへ・・大丈夫大丈夫ッ」
「あ、カナン!前・・っ」
「きゃーーーーー」
ナユタが心配して手を貸し、立たせたまでは良かった。
カナンはまた篭を重ね、大丈夫と繰り返し言って運ぼうとした足元に小石があったのだ。
案の定、またこけたカナンだった。
「・・・カナン、もう少し落ち着こうか」
頭を抱えつつ助言をするナユタは、それでも心のどこかでこの現状を楽しんでいた。
人と暮らすのは、やはりとても楽しいものだったから。
それにこの里の人々は、なんて暖かい―――。
「おいひよこ娘っ!」
「はいっ!え、あ、ラムカさん!?」
「ついて来い!」
「はい、てちょ、待ってくださーい!!!」
まるで嵐だ。
ラムカは突然現れると、こうしてカナンを連れて行ってしまうのだった。
ナユタは彼らの後ろ姿をため息をついて見送ると、また作業を再開した。
仕事はまだまだたくさんある。
休んでいる暇はないのだ。
サンワの庄に着て、少しずつ仕事を任されるようになってから。
初め、ナユタとカナンは大抵2人一組で動くようになっていた。
モノを知らないのは2人とも同じなので、簡単なことしかまだ出来ない。
けれど慣れてくると、カナンは特技による羊放牧で呼ばれ、ナユタはナユタで他で呼ばれるようになった。
自覚はしていなかったが、ナユタは結構手が器用だったらしい。
服を繕う、布を織る、篭を作る。
少しずつそんな作品作りを頼まれるようになっていた。
昔覚えて、それからは暇つぶしでしかやってこなかった技術。
ここで生きてくるとは、夢にも思わなかったことだ。
「暇つぶしでずうっとやってたことが、今ここで役に立つなんて・・・」
「え?何か言った?」
「いえ、何でもありません」
ぽつりと呟いた言葉を、後ろにいたおばさんが聞いていた。
けれどナユタは顔色一つ変えず、笑顔で返事をする。
表情を繕うことほど、簡単なことはない。
今までそうして生きてきたのだから。
返事をする間にも、一つ作品が出来ていた。
そうして離れ離れで仕事をしているうち、物語は少しずつでも、着々と進んでいた。
チュミとティン兄妹との交流、地上の聖龍探し、カナンの過去、それから特技云々。
ナユタは一つ一つこれから起こるべき事を思い返しながら、来るべき日を待った。
それすなわち、龍の覚醒の日を―――――。
それでも文句は言わなかった
むしろ久しぶりのヒトの温もりで、涙が出そうだった
あぁ、こんなにも私は寂しかったのか―――
タブラ・ラサ 2
「ほあッ!」
「カナン!」
何個も積み重ねていた篭ごと、カナンが倒れる。
サンワの庄に着てから、既に数日。
見慣れてしまった光景ではあるが、実際本当にカナンはよく転んだ。
「大丈夫?だから、少しにしたらといったのに・・」
「えへへ・・大丈夫大丈夫ッ」
「あ、カナン!前・・っ」
「きゃーーーーー」
ナユタが心配して手を貸し、立たせたまでは良かった。
カナンはまた篭を重ね、大丈夫と繰り返し言って運ぼうとした足元に小石があったのだ。
案の定、またこけたカナンだった。
「・・・カナン、もう少し落ち着こうか」
頭を抱えつつ助言をするナユタは、それでも心のどこかでこの現状を楽しんでいた。
人と暮らすのは、やはりとても楽しいものだったから。
それにこの里の人々は、なんて暖かい―――。
「おいひよこ娘っ!」
「はいっ!え、あ、ラムカさん!?」
「ついて来い!」
「はい、てちょ、待ってくださーい!!!」
まるで嵐だ。
ラムカは突然現れると、こうしてカナンを連れて行ってしまうのだった。
ナユタは彼らの後ろ姿をため息をついて見送ると、また作業を再開した。
仕事はまだまだたくさんある。
休んでいる暇はないのだ。
サンワの庄に着て、少しずつ仕事を任されるようになってから。
初め、ナユタとカナンは大抵2人一組で動くようになっていた。
モノを知らないのは2人とも同じなので、簡単なことしかまだ出来ない。
けれど慣れてくると、カナンは特技による羊放牧で呼ばれ、ナユタはナユタで他で呼ばれるようになった。
自覚はしていなかったが、ナユタは結構手が器用だったらしい。
服を繕う、布を織る、篭を作る。
少しずつそんな作品作りを頼まれるようになっていた。
昔覚えて、それからは暇つぶしでしかやってこなかった技術。
ここで生きてくるとは、夢にも思わなかったことだ。
「暇つぶしでずうっとやってたことが、今ここで役に立つなんて・・・」
「え?何か言った?」
「いえ、何でもありません」
ぽつりと呟いた言葉を、後ろにいたおばさんが聞いていた。
けれどナユタは顔色一つ変えず、笑顔で返事をする。
表情を繕うことほど、簡単なことはない。
今までそうして生きてきたのだから。
返事をする間にも、一つ作品が出来ていた。
そうして離れ離れで仕事をしているうち、物語は少しずつでも、着々と進んでいた。
チュミとティン兄妹との交流、地上の聖龍探し、カナンの過去、それから特技云々。
ナユタは一つ一つこれから起こるべき事を思い返しながら、来るべき日を待った。
それすなわち、龍の覚醒の日を―――――。
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