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思い返してみても、私は今までの人生で何か残すことが出来ていなかった
共働きの両親と同居している祖父母と姉、それから鳥と魚が数匹
平凡な家庭で生まれ、平凡な人生を歩んできたと思われている私
万引きこそしていないけど、母の財布からお金を盗っちゃったり
学校をずる休みしなくても、授業をボイコットしちゃったり
イジメをしてなくても、先生の悪口なんか目の前で言っちゃったり
殴ったりはしなくても、ある期間友達を無視したり
要は、ものすごいちっちぇ人間だったわけだ
それを後悔はしている
うん、少しだけ
若さ故の過ちと言って流しているだけかもしれないけれど
言ってしまえば、私のような人間1人消えたところで、何の支障もない
そう、言いたいことはそれだけだ
そうして今私は、自分の生まれ育った世界ではない
別の、知らないようで知っている
不可思議な世界で生きていた
それも、人間とは呼べないような、そんなモノになって
人間じゃない
ヒトから化したモノだから
正しく、化物になってしまった私
ちっぽけな私には、当初、しばらくそのことが受け入れられなかった
まぁ容易に受け入れられる人なんて、多くないだろうけれど
少なくとも私のような小さくてせこい人間だったモノにとっては
とても重大なことで
でも覆すことは出来なくて
だから、何を言いたいのかと言えば
この世界に来て、自分の現状を把握した私は
そのまま、絶望してしまったわけである
それでそのまま、ふらふらと世界を渡り歩いた
腹も減らない
眠りも必要ない
だから私は、ただ旅を続けた
その間出会った様々な人に影響され、いろんなことに手を染めたりもした
何も考えず、人にはない力で悪いこともした
でもそうして過ごすうちに、このままでは虚しさがなくならないことに気づいた
色んな人に出会っても
自分は異色で、独りだったから
寂しさは変わらなかった
私はヒトと関わることをやめ、山に篭ることにした
道具なんかは何もいらない
必要最低限の布かなんかあればそれでいい
それだけを考え、山で過ごし、家族といえるものも出来た
そうして長い間を過ごして、何百年が過ぎようとした頃
自分の置かれている状況について考えることも出来た
今居る世界について考えることも出来た
ここに居る理由だけはどうしてもわからなかったけれど
少しは、ものがわかるようになっていた
そうして私は、住み慣れた山を離れ、ある場所へゆくことにした
物語が、始まる
だから、行かねば・・・ サンワへ――――