呟きたいときくるところ
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日々の出来事を単調に感じながら生きるのは、とても意味がない
むしろ、贅沢モノなのだと非難されたこともあるけれど
それでもそう思い続けてしまうのは、仕方がない
だって、つまらないんだもの
光雲の行方 0
「うああぁさむいいぃ」
コートの襟元を寄せ身を縮め、寒風から身を護りつつ歩く。
今日も日々の学業を難なく終え、今は家に帰るため1人家への道を辿る最中だ。
師走の月に入り、多少の風と昨日よりも低い気温。
制服のスカートから覗く足は、既に感覚がないくらい冷え切っていた。
がちがちと震えながらもひたすらに歩む千代の頭の中は、早くも暖を取ることでいっぱいだった。
「だーーーっ寒すぎる!神様のばか!!」
やけになり神様に八つ当たりをするも、寒さが変わるわけもない。
ただ急いで家に帰るしか、この寒さから逃げる術はない。
「ああああもおおおぉ寒いーーーーーー」
なおも小声で唸りながら、歩道を左に曲がろうとした、その時だった。
ぴかっ
「っ!(まぶしっ)」
視界の端っこで、激しい光が瞬くのを感じ、一瞬両目を閉じる。
刹那の時だけだったから、その間も歩みは止めなかった。
けれど、すぐに目を開いた後、心底驚き立ち止まる。
「・・・・・いや、ここ何処」
目を開けて、いつもどおりに角を曲がり、家までの道を辿り続ける。
普段なら角を曲がれば右手に公園があるはずだった。
それなのに。
「森?何で森?つーか・・・もう意味が解らない」
普段から小説を読むのが好きだった自分。
インターネットが普及してきてからは、当たり前のように夢小説にもハマった。
特に好んで読んでいたのは、トリップもの。
現代に生きる主人公が戦国時代やら魔法の国やら別の世界へと突如行ってしまう。
そんな話ばかりを読んでいた時期もあった。
自分を主人公に置き換えたりと妄想もしていた。
所謂腐女子と呼ばれる、けれど隠れの千代。
「・・・・だからってまさか本当にこんなん起こるなんて、ある・・わけ・・・」
途中で言葉が途切れる。
力が抜け、声を出すことすら出来なくなった。
あるわけないと思っていた、思っていたけれど、実際に起こってしまった今。
こうした不慮の事態に対応出来るような神経を千代は持ち合わせていなかった。
「(一般人にはこういった事態に対処出来る能力とかオプション扱いだろ・・・)」
脱力しつつも考えることは出来る。
まずはここが何処なのかを知らなければならないと思った。
徐々に恐怖が滲み出てくるのを感じながら、辺りをきょろきょろと見回す。
これと言って特徴のない、けれど大きな木が密生した森。
木々の奥を見ようにも、あまりに広いのか、同じような景色が続く。
あまりにも深い森にいるのか、ただ単に千代が森のど真ん中にいるのか。
それすらも判断がつきかねた。
かさ・・
木の葉の擦れる音に驚き、過敏に反応してしまう。
恐怖がひたひたと心を埋め尽くす中、千代は必死に考えていた。
今はたまに差し込む光により、昼だとわかる。
辺りは薄暗いが、青々とした緑が空を覆いつくしているから暗いのだ。
日が落ちてしまえば、きっともっと暗くなる。
己の身さえ見えなくなってしまうかもしれない。
そうなる前にここを出たい。
けれど。
「(どっちに行ったらいいのかわからない・・・!)」
孤独と未知の場所への恐怖に、泣きそうになりながら、それでも必死に辺りを見回す。
何処を見ても変わらぬ景色に、千代は覚悟を決めた。
夜になる前に、何処か安全な場所を見つけなければ。
だとしたらどちらへ向かえばいいのだろう。
千代はきょろりと地面を見渡すと、10センチほどの細い枝を拾い上げた。
東西南北を適当に決め、十字を描き、真ん中に棒を立てる。
棒を指一本で支え、3つ数えて離した。
「(でやっ)」
棒は、南を指した。
千代は暫く棒が倒れた方向を見つめていたが、意を決して立ち上がり荷物を抱きかかえた。
今はひたすらに進むしかない。
これでもし森の奥へ行ってしまったとしても、動かないよりはましだ。
そう決めて。
そうして千代は進んで行った。
後には地に残った十字と東西南北の文字。
それから細い枝。
千代がいたという痕跡だけは確かにそこにあった。
むしろ、贅沢モノなのだと非難されたこともあるけれど
それでもそう思い続けてしまうのは、仕方がない
だって、つまらないんだもの
光雲の行方 0
「うああぁさむいいぃ」
コートの襟元を寄せ身を縮め、寒風から身を護りつつ歩く。
今日も日々の学業を難なく終え、今は家に帰るため1人家への道を辿る最中だ。
師走の月に入り、多少の風と昨日よりも低い気温。
制服のスカートから覗く足は、既に感覚がないくらい冷え切っていた。
がちがちと震えながらもひたすらに歩む千代の頭の中は、早くも暖を取ることでいっぱいだった。
「だーーーっ寒すぎる!神様のばか!!」
やけになり神様に八つ当たりをするも、寒さが変わるわけもない。
ただ急いで家に帰るしか、この寒さから逃げる術はない。
「ああああもおおおぉ寒いーーーーーー」
なおも小声で唸りながら、歩道を左に曲がろうとした、その時だった。
ぴかっ
「っ!(まぶしっ)」
視界の端っこで、激しい光が瞬くのを感じ、一瞬両目を閉じる。
刹那の時だけだったから、その間も歩みは止めなかった。
けれど、すぐに目を開いた後、心底驚き立ち止まる。
「・・・・・いや、ここ何処」
目を開けて、いつもどおりに角を曲がり、家までの道を辿り続ける。
普段なら角を曲がれば右手に公園があるはずだった。
それなのに。
「森?何で森?つーか・・・もう意味が解らない」
普段から小説を読むのが好きだった自分。
インターネットが普及してきてからは、当たり前のように夢小説にもハマった。
特に好んで読んでいたのは、トリップもの。
現代に生きる主人公が戦国時代やら魔法の国やら別の世界へと突如行ってしまう。
そんな話ばかりを読んでいた時期もあった。
自分を主人公に置き換えたりと妄想もしていた。
所謂腐女子と呼ばれる、けれど隠れの千代。
「・・・・だからってまさか本当にこんなん起こるなんて、ある・・わけ・・・」
途中で言葉が途切れる。
力が抜け、声を出すことすら出来なくなった。
あるわけないと思っていた、思っていたけれど、実際に起こってしまった今。
こうした不慮の事態に対応出来るような神経を千代は持ち合わせていなかった。
「(一般人にはこういった事態に対処出来る能力とかオプション扱いだろ・・・)」
脱力しつつも考えることは出来る。
まずはここが何処なのかを知らなければならないと思った。
徐々に恐怖が滲み出てくるのを感じながら、辺りをきょろきょろと見回す。
これと言って特徴のない、けれど大きな木が密生した森。
木々の奥を見ようにも、あまりに広いのか、同じような景色が続く。
あまりにも深い森にいるのか、ただ単に千代が森のど真ん中にいるのか。
それすらも判断がつきかねた。
かさ・・
木の葉の擦れる音に驚き、過敏に反応してしまう。
恐怖がひたひたと心を埋め尽くす中、千代は必死に考えていた。
今はたまに差し込む光により、昼だとわかる。
辺りは薄暗いが、青々とした緑が空を覆いつくしているから暗いのだ。
日が落ちてしまえば、きっともっと暗くなる。
己の身さえ見えなくなってしまうかもしれない。
そうなる前にここを出たい。
けれど。
「(どっちに行ったらいいのかわからない・・・!)」
孤独と未知の場所への恐怖に、泣きそうになりながら、それでも必死に辺りを見回す。
何処を見ても変わらぬ景色に、千代は覚悟を決めた。
夜になる前に、何処か安全な場所を見つけなければ。
だとしたらどちらへ向かえばいいのだろう。
千代はきょろりと地面を見渡すと、10センチほどの細い枝を拾い上げた。
東西南北を適当に決め、十字を描き、真ん中に棒を立てる。
棒を指一本で支え、3つ数えて離した。
「(でやっ)」
棒は、南を指した。
千代は暫く棒が倒れた方向を見つめていたが、意を決して立ち上がり荷物を抱きかかえた。
今はひたすらに進むしかない。
これでもし森の奥へ行ってしまったとしても、動かないよりはましだ。
そう決めて。
そうして千代は進んで行った。
後には地に残った十字と東西南北の文字。
それから細い枝。
千代がいたという痕跡だけは確かにそこにあった。
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